日曜日、IT Industryの栄枯盛衰

いい天気です。朝は中野通りのロイスダールで朝食を取りました。中野駅周辺に比べてここは、ユックリできていいですねぇ。夕方はサンプラザで2,000mスイム。近所の実家で四方山話をして帰宅しました。

私も気がつけばIT業界の経験の方が航空業界の経験よりも長くなりました。今日はIT業界の栄枯盛衰の見分け方を、一つ。ITの企業はコンシューマ相手に事業を始める事が多いです。マイクロソフトがいい例です。Windows95などでコンシューマにてエクサイトメントを起こし、大企業、そして中小企業と軸足を移動してきました。逆の言い方をすれば、衰退もコンシューマから始まって、時間をかけて大企業、そして中小企業と移っていきます。

先日のマイクロソフトの四半期決算発表で明らかなのは、コンシューマで大ゴケしたが大企業の残存サブスクリプションビジネスで何とか体裁を取り繕ったというところです。この大企業などのビジネスセグメントもGoole, Amazon, そして今後はコンシューマセグメントでの峠を超えてしまったAppleにシェアを奪われて、3-5年すると、大幅にシェアをを失っているでしょう。

コンシューマで元気のいい会社は、まだまだこれからですが、ビジネスセグメントで守りに入っている会社はジリ貧で衰退、これが大きな流れです。

テクニカルな側面を加えるとすれば、re-purchase(自社株買い)やdividend(配当)を始めたり、増やしたした企業は落ち目です。下記の記事はアップルの衰退を書いていますが、このテクニカルな側面が読み取れます。
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アップルを苦しめる3つの「シェア」 ジョブズの魔法は消えたのか

 【シリコンバレー=岡田信行】米アップルが3つの「シェア」に苦悩を深めている。1つ目は自社のシェア(株式)の価格。昨年9月に比べて35%以上も下落し、株式時価総額で世界首位の座から転落する原因となった。2つ目はスマートフォン(スマホ)市場で相対的に下がってきた「iPhone」の販売シェア(占有率)。そして最後は高いブランド力を支えてきた「経営理念」のシェア(共有)だ。アップルはどこへ行くのか――。3つのシェアを手掛かりに探ってみた。

■「過去最高業績」でも株式市場は失望

 「従業員の皆さん、我々は記録的な四半期(2012年10~12月)期決算を発表したところです。皆さんの努力と注力に感謝します。我々は年末の四半期だけで、7500万台もの『iOS(アップルの携帯端末用基本ソフト)』搭載端末を販売しました。革新的なアップルの強さを証明したのです」

 アップルの純利益が微増にとどまった10~12月期決算を発表した23日。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は、こんな文面の電子メールを従業員に送った。複数のIT(情報技術)ニュースサイトが伝えた。

 10~12月期の売上高は前年同期比18%増の545億1200万ドル、純利益は0.1%増の130億7800万ドルで、ともに四半期ベースで過去最高を更新。iPhoneの販売台数も29%増の4778万9千台と過去最高を記録した。

 しかし、ここ数年続けてきた驚異的な収益拡大とは、明らかに内容が異なっていた。市場から大きな期待を寄せられていたアップルだけに、その勢いのある成長が途切れたことだけでも、株式市場の失望感は強かった。

 「29%増でもiPhoneは不振なのか」「過去最高の業績でもたたかれるのか」。インターネット上では、メディアの報道や投資家の反応を批判する声も多く上がった。

 強い期待感の醸成や高い株価は、クックCEO率いるアップルが望んだことでもある。アップルの現在の立ち位置が、すでに11年10月に死去したスティーブ・ジョブズ前CEO時代とは、やや変わっているからだ。

 ジョブズ氏の生前、アップル株の最高値は11年9月20日の取引時間中につけた422.86ドルだった。同年8月に株式時価総額は一時、世界トップに躍り出ていたが、2位のエクソンモービルを突き放すまでには至っていなかった。

 300~400ドル前後で推移していた株価が、500ドルを超えて、700ドルを突破するまで急上昇を始めたのは、実は12年1月からだ。同月に発表した11年10~12月期決算で、純利益が前年同期比2倍以上に伸び、ジョブズ氏亡き後の経営不安をある程度払拭できたことが効いた。また同3月には、クックCEOが配当や自社株買いを実施すると発表。株主重視の姿勢を打ち出したことも大きかった。

■株主との「緊張関係」から転換

 ジョブズ氏は生前、株主総会で「株主のために経営しているのではない」と言い放ち、収益は急拡大していても、株主とは緊張関係にあった。「株主のためにお金を使う気はない」とも発言。株主の利益よりも「顧客に驚きを与える製品開発」に重点的に投資する姿勢を堅持してきた。

 クックCEOも顧客を軽視しているわけではない。それでも「株主重視」に踏み切ったのには理由がある。アップルが幹部や社員に大量に付与した制限付き株式(RSU)の存在だ。

 アップルはクック氏がCEOに就任した11年8月以降、クック氏をはじめ主要幹部を対象に、売買が可能になる期日にアップルに在籍していることを条件とするRSUを大量に付与している。クック氏らは期日が来たら、RSUの権利を行使して普通株式を取得し、市場で売却することができる。

 RSUの権利行使期日は主なもので13年8月から21年8月まで。クックCEOには11年8月に100万株のRSUが付与され、16年8月に50%分、21年8月に残る50%分の権利が行使できる。それぞれの幹部がジョブズ氏の死後も、アップルにとどまり、担当分野で実績をあげて株価上昇が続けば、手にする株式売却益も大きくなる。

■株式付与で株価上昇が社員にもプラスに

 カリスマ的な存在感で社内外で求心力をもっていたジョブズ氏亡き後に、アップルが結束を保ち、成長を続けていくための仕組みとして、アップルは「株主」を意識した経営にシフトした。

 クックCEOにとって、時価総額が世界一かどうかは問題ではないが、ジョブズ氏のように「株主のために経営をしているわけではない」と放言するわけにはいかない社内事情があったのだ。

 アップルを世界で最も価値ある企業に押し上げたのは、新分野を切り開くイノベーション(革新)の力と、機会損失を抑えて規模を拡大するオペレーション(事業展開)の力だ。しかし、その2つの要素が、このところ、逆回転気味となっている。その一因はもう1つのシェア(市場占有率)が下がっていることと無縁ではない。

韓国サムスン電子はスマートフォンやタブレット、デジカメなどの販売が好調でシェアを拡大させている(韓国ソウル市内の同社製品広告の前で)=ロイター
■サムスンと激しいシェア争い

 米調査会社IDCが24日に発表した、スマホのメーカー別世界出荷シェアによると、12年10~12月は韓国サムスン電子が前年同期比6.5ポイント増の29.0%で首位。アップルはシェアを1.2ポイント落とし、2位の21.8%にとどまった。世界出荷台数が市場全体で36%伸びたなか、サムスンは販売台数を76%増やし、29%増だったアップルを突き放した。

 アップルは23日の決算説明会でも、最新の「iPhone5」の販売は好調だったとしながらも、10~12月期中に「『iPhone4』が終始品薄だった」とも言及した。また、機種別の販売台数は開示しなかったものの、最も価格の高い上位機種「5」ではなく、条件付きで価格が0ドルとなる旧機種「4」の需要が予想外に強いことを示唆した。

 アップルが得意とする上位機種の需要は、先進国市場での普及一巡に伴い、次第に開拓余地が小さくなってきている。加えてグーグルやマイクロソフトなど競合他社も、アップルを徹底的に研究し、魅力的なスマホを安い価格で提供できるように工夫を凝らしている。

■新興国・低価格市場が「もろ刃の剣」にも

 アップルがいま販売に注力しているのは中国など新興国市場であることも「もろ刃の剣」だ。新興国では「100ドルスマホ」が激戦区。メーカー各社が火花を散らすなか、アプリの品ぞろえや使い勝手の良さで優位性をアピールできたとしても、最終的には価格勝負となる。

 機能を拡充しながら部品コストを下げるには規模拡大が不可欠。つまり、ある程度は市場シェアを追わざるを得ない。しかし、シェアを求めすぎると価格競争に巻き込まれ、アップルのブランドが傷つく恐れがある。

 決算説明会で「市場シェアは追わないのか?」と聞かれたクックCEOは、「アップルの使命は最高の製品を作ることだ。そのうえで合理的なシェアを得る」と強調した。

 タブレット(多機能携帯端末)では、昨年11月に小型版の「iPad mini」の投入で販売台数は増えたが、「他のアップル製品に比べて、利益率が著しく低い」(ピーター・オッペンハイマー最高財務責任者)状況だ。

■販売台数は増えたが利益率は低下傾向に

 iPhoneとiPadの分野別売上高を販売台数で単純に割った「1台あたり売上高」で比べると、iPadは初代を発売した10年4~6月期に662ドル台だったのが、12年10~12月期は470ドルを割り込み、200ドル近く値下がりした。

 一方、iPhoneは、同じ時期に630~640ドル台を維持しており、ここまでは、アップルの思惑通りに販売を拡大してきたことが分かる。

 今後、iPhone販売を新興国に広げていけば、投入の噂が根強い「廉価版」の必要性が高まることは必至。アップルはブランドの維持と規模拡大をどう両立するか、難しい選択を迫られる。

■「世界を変える」スピリットをどう維持するか

iPhoneを発表するアップル共同創業者で最高経営責任者だったスティーブ・ジョブズ氏(故人、2007年1月)=ロイター
 価格競争を回避しながら、事業を拡大するには、アップルがこれまで取り組み、アップルをアップルたらしめてきた、画期的な製品・サービスの開発に挑み続けるしかない。「株主のためではなく、世界を変え、人々を驚かせるために」挑戦することが、ジョブズ氏がシェア(共有)しようとしたアップルのスピリットのはずだ。

 消費者は「iPhone」や「iPad」の最新版に最新の機能を盛り込んだだけでは、「マジカル(魔法のよう)」とは感じなくなっている。株式市場も、収益が拡大し、最高益を更新しただけでは反応しなくなった。

 クックCEOを苦悩に追いやる「3つのシェア」は難問ばかりだ。かつて革新的と言われ、世界をリードした数多の企業も成熟期に同様の苦悩に直面し、少なからず消えていった。「アップルはジョブズ氏の最高の作品」(アップル取締役を務めるゴア元副大統領)だとすれば、「アップルこそアップルである」ことを自ら示し続けるしかない。