マイクロソフト 追加レイオフ 7,800人 

One year after announcing a massive round of job cuts impacting 18,000 employees, Microsoft is wielding the axe again.
In a statement released Wednesday, Microsoft said it will slash up to 7,800 additional jobs. Most of the cuts are connected to the company’s phone business.
The company will also take an impairment charge of $7.6 billion related to its acquisition of Nokia’s handset business for more than $7 billion, along with a restructuring charge ranging between $750 million and $850 million.
“We are moving from a strategy to grow a standalone phone business to a strategy to grow and create a vibrant Windows ecosystem including our first-party device family,” said Microsoft CEO Satya Nadella in an email to employees Wednesday. “In the near-term, we’ll run a more effective and focused phone portfolio while retaining capability for long-term reinvention in mobility.”
Shares of Microsoft are up more than 1% at $44.73 in morning trading.
Details of the job cuts were first reported by The New York Times.
The cuts and charges will be complete by the end of Microsoft’s fiscal year, the company said.
The job cuts are tied to Microsoft’s big gamble to become a larger player in the smartphone market. Last year, it completed its acquisition of Nokia’s handset business after partnering on the Lumia line of smartphones running Microsoft’s Windows Phone operating system.
Microsoft’s deal to acquire Nokia’s handset business in 2013 — one of the last acts of outgoing CEO Steve Ballmer — has been a “head-scratcher” from the beginning, says FBR Capital Markets analyst Daniel Ives.
“Nadella inherited this headache,” says Ives. “This is Nadella, after a year and a half, (trying) to cut the cord as much as possible to the Nokia business.”
Mobile remains a core part of Microsoft’s strategy, but Ives notes the company will focus more on “the software piece around mobile rather than dedicating resources and employees toward hardware,” such as its line of Windows phones.
Last year, Microsoft CEO Satya Nadella revealed the company was cutting up to 18,000 jobs as part of a larger plan to streamline the organization. “My promise to you is that we will go through this process in the most thoughtful and transparent way possible,” said Nadella in a memo to employees when the layoffs were announced.
The additional cuts arrive as Microsoft prepares for one of its biggest product launches in recent years: Windows 10. The operating system that will work across PCs and mobile devices launches later this month.
It’s also the latest move by Nadella to shift the company’s focus toward key businesses, including cloud computing, Microsoft’s Office software suite and Windows 10. “They’re going through a major sea change at Microsoft in terms of restructuring and strategic focus,” says Ives.

改革拒む伏魔殿マイクロソフト 次期CEOの「豪腕」頼み

「候補者を5人程度に絞った」「有力なのは2人」――。米マイクロソフトの後継CEO(最高経営責任者)選びが大詰めを迎え、米国では様々な予測が飛び交っている。現在のスティーブ・バルマーCEOが今年8月に「1年以内の退任」を表明し、早ければ年内、遅くとも来春までに後継者が決まる見通しだ。人選は霧の中だが、ひとつ断言できる。誰がCEOになってもいばらの道は続く、ということだ。

 今のマイクロソフトは、変化や改革を拒む抵抗勢力が巣くう「伏魔殿」である。誰がCEOになろうとも同社が抱える問題を解決するのは至難の業だろう。長年の成功体験の影で閉鎖的な文化が社内に染みついているからだ。同社の再浮上には、こうした空気を一掃できる次期CEOの豪腕に頼るしか

■時代の流れが読めないトップは退場に

 「(マイクロソフトの)CEOは38年の歴史上でわずか2人しかいない。スティーブ(バルマー)と私の2人が愛するマイクロソフトにふさわしい人を、ふさわしい時期に選ぶ」――。

 ビル・ゲイツ会長が涙で声を詰まらせた。11月19日にワシントン州レッドモンドの本社で開いた株主総会でのひとこまだ。ゲイツ会長は集まった株主に対し特別委員会で進めている新CEO選びについて説明したが、その姿は晴れ晴れしさとはほど遠く、会社を巡る状況と後継者選定の厳しさを物語っていた。

 2013年は米国を代表する企業のトップ交代が相次いだ。11月25日には米ウォルマート・ストアーズが国際部門トップだったダグ・マクミロン氏を新CEOに指名。10日には米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)が次期CEOにメアリー・バーラ上席副社長を選んだばかりだ。

 トップの交代が続くのは偶然ではない。急激に進むIT(情報技術)化がすべての業種に地殻変動をもたらしている。新しい技術・市場のトレンドに乗り遅れた企業は、歴史の長短にかかわらず容赦なく大波にのみ込まれ、流れについていけないCEOは市場から退場を迫られている。

 「ウィンテル」と呼ばれた米インテルとマイクロソフトの2社もその不名誉な代表格だ。モバイルへの対応が遅れたことで存在感が急速に低下。インテルは5月にポール・オッテリーニCEOが退き、ブライアン・クルザニッチ氏に交代。マイクロソフトのバルマー氏退任も、この流れに続くものだ。

 米国の株式相場はバルマー氏の退任を好材料と受け止め、低迷を続けていたマイクロソフトの株価は発表後に大幅に上昇した。ウィンドウズとオフィスのソフトウエア・ライセンスという90年代に作られた一昔前のビジネスモデルから脱却できない原因が、バルマー氏の経営手法にあると見ていた投資家が多いためだ。

 しかし、CEOひとりが交代して流れが大きく変わるかというと、事はそう簡単ではない。市場独占にも近い成功を治めた企業に共通する宿痾(しゅくあ)をマイクロソフトも抱えている。

■見えてこない新ビジネスモデル

 第1の問題は新しいビジネスを発掘する力を失ってしまったことだ。次期CEOが取り組むべき最大のテーマは、スマートフォンやタブレットなどモバイル・デバイスが台頭しパソコン市場が縮小傾向にあるなか、新たな収益源を見いだすことだ。しかも、ソフトウエアライセンスに匹敵する規模に短期間で育てなければ、投資家や株式市場の信任は得られない。

 インターネット検索では米グーグルにまったく太刀打ちできず赤字を垂れ流している。モバイル分野に関しても、完成度の高いソフトウエアとハードウエアの組み合わせで利益率の高い市場を独占する米アップルと、Androidを無料で提供するグーグルに挟まれ迷走している。

マイクロソフトのCTO職を5年で離れたレイ・オジー氏
 起死回生の一手として、フィンランドのノキアからスマートフォン部隊を買収することで合意した。しかし、モバイル市場での存在感を維持するための苦肉の策であり、業界関係者の多くは「とき既に遅し」と考えている。そもそもアップルと真っ向から対抗する戦略がマイクロソフトにとって最適解とは考えにくい。

 唯一好調なのは、シェアポイントやオフィス365といった企業向けのクラウド・サービスだ。だが、このビジネスがソフトウエアライセンスをしのぐビジネスに成長するには、少なくともまだ数年はかかる。

■「外様」に強い拒否感

 第2の課題は、この十数年間にマイクロソフト内部で網の目のように張り巡らされた排他的で保守的な社員のネットワークを壊すことだ。

 あえて日本語にすれば「派閥」や「社内政治」となろうか。社外からは見えにくいが、これは非常に根が深く厄介な問題だ。あまりにも密接な人間関係が、外から来た新しいリーダーに拒絶反応を示し、既存のビジネスルールを変えるうえでの抵抗勢力として機能してきた。

 もちろん日本でいう「大ボス」をみこしで担ぎ上げるような派閥とは異なる。マイクロソフトには伝統的に技術面で優れたエンジニアが尊敬を集める風土がある。そこで新しい製品・サービスを作り上げ、ビジネスとして成功させた人が評価され昇進していく。

 能力と努力の相乗効果でプロモーションしていく社内システムは、米国企業の中では非常に優れた仕組みであろう。だた、同じ部門内で働く人々の間では極めて強い信頼関係が出来上がっているため、結果として「社内で成功して高い地位に昇った人が絶対的存在」「部門トップには誰も意見をいえない」という硬直的な文化を作ってしまった。

 ロータス・ノーツの生みの親である伝説のエンジニア、レイ・オジー氏もそうした独特のカルチャーにはじかれた1人だ。

 2005年、バルマー氏はオジー氏をマイクロソフトのCEO後継候補として迎え入れた。同氏はクラウドサービスの「ウィンドウズ・アジュール」の立ち上げなどを任されたが、社内の拒絶反応に遭い、全くリーダーシップを発揮することなく2010年10月に会社を去った。

 バルマー氏はオジー氏に、技術のトップである最高技術責任者(CTO)の肩書を与えた。だが、所詮は「外様」であり、社内で長年活躍してきたエンジニアたちの尊敬や信頼を勝ち取ることはできなかったのだ。

 閉鎖的な文化の代表格としてあえて名指しをするならば、ウィンドウズ7とウィンドウズ8の開発責任者を務めたスティーブン・シノフスキー氏だろう。

 そんなシノフスキー氏も、昨年のウィンドウズ8完成直後に、バルマー氏に追い出されている。皮肉なことに、バルマー氏自身も会社の閉鎖性を体現する1人と言ってもいい。

 こうした「文化」を引き継ぐ歴代の名エンジニアたちが、同社の中枢に数百人規模で居続けており、今も重要な役割を果たしている。CEOひとりが変わったくらいでは、まったく風通しがよくならないことは容易に想像できる。これこそが、マイクロソフト再生への最大の障害なのだ。

 IBMのように官僚的で政治力がモノをいう会社になってしまったのか――。ゲイツ氏がCEOの座を離れた際、彼の父親が一番に懸念したのは、歴代の優良企業が踏んだ轍(てつ)をなぞろうとしていることだった。それが今、現実になっている。

■社外から選ぶのが妥当だが……

 もちろんバルマー氏も手をこまぬいているわけではない。

米マイクロソフトの2013年7~9月期の製品部門別売上高と損益。( )内は前年同期。単位:億ドル
売上高 損益
ウィンドウズ部門 45.81(44.11) 22.42(28.18)
サーバー&ツール部門 50.52(45.53) 20.26(17.39)
オンライン・サービス部門 8.72(6.97) △3.21(△3.64)
ビジネス・アプリケーション部門 59.91(56.90)38.59(38.39)
エンターテインメント&デバイス部門 20.70(19.47) △0.15(0.21)

 退任発表の直前に、それまでの製品別の縦割りから、OS・デバイス・アプリケーション・クラウドという4分野のエンジニアリング部門と、これらの製品やサービスを横断するマーケティング部門や事業開発部門などで構成する形に大幅に組織を再編した。

 各部門内に個別に置いていたCFO(最高財務責任者)やCMO(最高マーケティング責任者)といった役職も廃止して独立採算制をやめ、製品別の収支を越えて最適な戦略が取れる体制に変えた。

 この新体制を指揮するCEOの候補としては、各新部門のトップの中から選ぶ内部昇格に加え、米フォード・モーターのCEOアラン・ムラーリー氏のような「再建請負人」を社外から招くことも検討しているようだ。

 教科書的にいえば、企業文化を根本から変えるには「バルマー氏の後継者は外部から連れて来るべきだ」というのが正解だろう。

 だが、外部から招いたCEOがマイクロソフト内部に根深く巣くう派閥の殻を打ち破るのは容易ではない。かといって、内部昇格でCEOを選んでは何も変わらない。まさに内憂外患の状況が人選を難しくしている。

 どんな企業であれ、ビジネスモデルと文化を根本から180度転換するのは簡単ではない。成果を得るまでには時間もかかるし、大きな痛みも伴う。次期CEOに求められる資質は幾つもあるだろうが、あえて一つをあげるならば、重責に耐え、改革をなし遂げられる「比類なき豪腕」だろう。取締役・株主も一定の形が見えてくるまでその人物を信頼し続ける忍耐力を持つしかない。

 パソコンを世界に普及させ、政府と独占禁止法を巡り激しく対立したほどの権勢を誇ったマイクロソフト。一時代を築いた会社を「ぶち壊す」のはそれほど大変な仕事なのだ。

アメリカのIT企業株価は過去一年どうだったか? 注目株

アメリカのIT企業の決算が続き、一喜一憂していますが一年前に株を買っていたらどうなっていたのでしょうか?
ナスダックの株価の上昇より良かったのか?下回っていたのか?

ナスダック Nasdaq
まずはマーケット全体は30%上昇しています。アメリカ経済そして景気回復は堅調です。

アマゾン AMZN
アマゾンは約60%株価が上がりました。利回り60%いいですね

アップル AAPL
-18% 値下がり銘柄です。短期的な高騰の調整局面でしょうか

Facebook FB
+125%値上がり。言わずとも勝ち組企業の代表格。IPOの後はしばらくもたつきましたが、Mobile Adに対応して一気に戻りました。将来が楽しみですね。

グーグル GOOG
グーグルは約50%の値上がりでした。底堅い成長はマーケットを凌ぐでしょう。Google GlassでInventoryを拡大、起きてる時間は広告見ろってか?

IBM
古典的な恐竜企業は-8%の値下がり。

リンクド イン LNKD
+125% Wow 次の一手が興味深い。

マイクロソフト MSFT
+25%値上がり 株の買い戻しをこんなにやってもマーケット(Nasdaqの値上がり)を下回るという。タイタニック号は破滅への道。時代の流れに乗り遅れた古典的な企業。

MS 新 CEO、Ford の CEO が最有力?

Microsoft 社の新 CEO 候補として Ford 社のアラン・ムラリー CEO が有力視されていると “内部事情に詳しい情報筋” が語ったと、All Things D が報じている。ムラリー氏は Ford の CEO に就任する前に Boeing 社商用機部門の社長兼 CEO を務めていた人物で、現在もシアトル地域に自宅を所有している。また、Microsoft 社の “Sync” が Ford 車に使われているという縁もある。苦境にあった Ford を立て直した手腕が高く評価されていることもあり、近年不調が取りざたされる Microsoft の復活にはうってつけの人材との見方もある。同氏は今月、Ford を離れることはないと明言していたが、情報筋によれば、ここ数週間で態度に変化が見られるという。All Things D によると、ほかにも Nokia 社のスティーブン・イーロップ CEO や、Microsoft 幹部のトニー・ベイツ氏らが有力候補だという。

マイクロソフト、ノキア買収の愚

(2013年9月4日 Forbes.com)

 スティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)が12カ月以内に退任すると発表したおよそ1週間後、米マイクロソフトは72億ドル(約7190億円)を投じてフィンランドのノキアの携帯電話とタブレット(多機能携帯端末)事業を買収すると発表した。CEO交代でマイクロソフトが大きく変わるのでは、と期待した人々にとり、これは大きく膨らんだ風船に針を刺すようなニュースだった。
 パソコン販売が世界的に10%近い落ち込みを見せるなか、マイクロソフトの将来が危うくなっているのは誰の目にも明らかだ。途上国市場ではパソコンから携帯機器への移行が、米国以上の速度で進んでいる。しかもマイクロソフトは携帯市場ではひたすら負け続けてきた。市場参入が遅く、しかも製品には市場を一変させる力がなく、米国でのシェアはわずか3%にとどまっている。
■ウィンドウズ8で市場を変えようともがく

 厳しい現実にもかかわらず、マイクロソフトはノキア買収によって基本ソフト(OS)「ウィンドウズ8」を軸とする基本戦略に“倍賭け”し、社運を賭け続けることになった。

 マイクロソフト幹部からノキアCEOに転じたスティーブン・エロップ氏が、ウィンドウズ8支持の姿勢を明確にして以来、ノキアのシェアは40%から15%に縮小した。米HP、台湾の宏碁(エイサー)、米デルなどマイクロソフトのエコシステムを採用した企業でウィンドウズ8搭載機器の発売が遅れるなか、ノキアは「ウィンドウズフォン」というちっぽけな市場で90%のシェアを握る。このため今回の買収により、マイクロソフトは既に衰退しつつあるOS事業を守り、拡大していくために多額の投資をする責務を抱え込むことになる。

 バルマー氏率いるマイクロソフトが最もやりそうなことは、米アップルの「iOS」と米グーグルの「アンドロイド」というマーケットリーダーとの勝ち目のない戦いに、さらに多くの経営資源を注ぎ込むことだと私は今年1月の記事で予測した。スカイプへ85億ドル(約8489億円)、電子書籍端末「NOOK(ヌック)」へ4億ドル(約399億円)の投資に続き、今度は赤字のノキアに72億ドルを投じるという。3万2000人のノキア従業員が加われば、マイクロソフトの損失は確実に膨らみ続けるだろう。マイクロソフトは膨大な現金を抱えているとはいえ、このようなペースで使い続ければ、長くはもたないだろう。

■ノキア買収でもアップルになれない
 今回の買収により、マイクロソフトはアップルのようになるという見方もある。iPhone(アイフォーン)を擁するアップルのように、ハードウエアとソフトウエアを併せ持つことになるからだ。そこには近い将来、売上高も利益率もアップル並みに――という期待がある。

 だが残念ながら、何カ月も前に米モトローラを買収したグーグルの例からも、ハードウエア会社を買収さえすれば売上高と利益をアップルのように伸ばせるといった単純な話ではないことがわかっている。しかもアンドロイドフォンは、ウィンドウズフォンよりはるかに人気があるにもかかわらず、である。単にマイクロソフトとノキアを統合しても、ウィンドウズフォンの登場はあまりに遅く、しかもそれほど魅力がないという事実は変わらない。

■エロップ氏を次期CEOにするのは間違い
 ノキアを買収するのは、エロップ氏をバルマー氏の後釜に据えることで、マイクロソフトの後継者問題を解決するためであるという説もある。たしかにその可能性は高そうだが、そうだとすればスカウト費用としてあまりに割に合わない。エロップ氏をマイクロソフトCEOにする唯一の理由は経営手腕ではなく、過去にマイクロソフトに在籍していた経歴だけだ。だが経歴を見れば、エロップ氏をマイクロソフトCEOにするのは誤りであるという事実は明白である。
 2010年10月にエロップ氏がノキアCEOに就任した際、私はこの人事は失敗だと指摘した。エロップ氏はマイクロソフト寄りの戦略を採り、ノキアを「マイクロソフトの販売店化」するなど、めちゃくちゃにしてしまうだろう、と。それ以降、ノキアの売上高は落ち込み、利益は消えうせ、株主は反旗を翻すなど散々で、唯一の好ましいニュースがこの死にゆく会社をマイクロソフトに売却するという話題だけだった。これはCEOの実績として、すばらしいとは言い難い。

 現在のエロップ氏の職務は、ウィンドウズを搭載した携帯機器の販売を増やすことだ。マイクロソフトCEOになっても、それを自分の主な責務だと思い続ける可能性が高い。バルマー氏がまさにそうだ。

 両CEOともに市場が既に変化し、(アップル、グーグルの)マーケットリーダー2社はブランドイメージ、製品、クラウドサービス、アプリ、デベロッパー、パートナー、流通、市場シェア、売上高と利益など、あらゆる面ではるか先へ行ってしまったという事実を認識する能力が欠如しているようだ。いまやマイクロソフトが2社に追いつくのは不可能である。

■投資家らは戦略転換の必要性を認識

 買収が発表された直後、短期トレーダーがマイクロソフトの株価を押し下げたのは当然だ。バルマーCEOとマイクロソフトの取締役会が、まだ負け戦を続けようとしているのは明白だ。いまだに「ウィンドウズ」とワープロや表計算に使う「オフィス」事業で、過去の栄光を取り戻そうと懸命なのだ。市場アナリストの多くは今回の買収を、ウィンドウズ8に社運を賭けようとするバルマーCEOの最後の大勝負と見ている。だがこの勝負は、月を追うごとに旗色が悪くなっている。

 マイクロソフトは死んではいない。再生する能力がないわけでもない。だが取締役会が会社の方向性を抜本的に変え、ウィンドウズ8(およびその関連機器)への投資を増やすのではなく減らし、2020年にマイクロソフトが顧客にとってきわめて重要な会社になるためのビジョンを作らないかぎり、再生は見込めない。これまでのところ、打つ手はすべて間違っている。

Moving forward Aug. 23, 2013 マイクロソフト社内メール スティーブ バルマー 退任

Moving forward
Aug. 23, 2013
Text of an internal email from Microsoft chief executive officer Steve Ballmer to employees regarding his plan to retire.

I am writing to let you know that I will retire as CEO of Microsoft within the next 12 months, after a successor is chosen. There is never a perfect time for this type of transition, but now is the right time. My original thoughts on timing would have had my retirement happen in the middle of our transformation to a devices and services company focused on empowering customers in the activities they value most. We need a CEO who will be here longer term for this new direction. You can read the press release on Microsoft News Center.

This is a time of important transformation for Microsoft. Our new Senior Leadership team is amazing. The strategy we have generated is first class. Our new organization, which is centered on functions and engineering areas, is right for the opportunities and challenges ahead.

Microsoft is an amazing place. I love this company. I love the way we helped invent and popularize computing and the PC. I love the bigness and boldness of our bets. I love our people and their talent and our willingness to accept and embrace their range of capabilities, including their quirks. I love the way we embrace and work with other companies to change the world and succeed together. I love the breadth and diversity of our customers, from consumer to enterprise, across industries, countries, and people of all backgrounds and age groups.

I am proud of what we have achieved. We have grown from $7.5 million to nearly $78 billion since I joined Microsoft, and we have grown from employing just over 30 people to almost 100,000. I feel good about playing a role in that success and having committed 100 percent emotionally all the way. We have more than 1 billion users and earn a great profit for our shareholders. We have delivered more profit and cash return to shareholders than virtually any other company in history.

I am excited by our mission of empowering the world and believe in our future success. I cherish my Microsoft ownership, and look forward to continuing as one of Microsoft’s largest owners.

This is an emotional and difficult thing for me to do. I take this step in the best interests of the company I love; it is the thing outside of my family and closest friends that matters to me most.

Microsoft has all its best days ahead. Know you are part of the best team in the industry and have the right technology assets. We cannot and will not miss a beat in these transitions. I am focused and driving hard and know I can count on all of you to do the same. Let’s do ourselves proud.

Steve

金曜日. Microsoft CEO Ballmer to retire within 12 months

ようやく休み。

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マイクロソフトの株主はこのニュースに大喜び。内部には目ぼしい候補者は皆無です。いちかばちかの外部起用をすべきでしょうね。内部昇格をすれば、また衰退の10年を続けるでしょう。

もっとも手遅れであるのは揺るがぬ事実ですね。すでに会社はタイタニック号の末期を迎えています。

NEW YORK (Reuters) – Microsoft Corp said on Friday that Chief Executive Officer Steve Ballmer would retire within the next 12 months, once it has selected a successor, sending its shares up almost 9 percent.
Ballmer said in a statement that he would have timed his retirement in the middle of Microsoft’s announced transformation to a devices and services company. But he said: “We need a CEO who will be here longer term for this new direction.”
The software company said its board had appointed a special committee to direct the process of appointing a new CEO.
The committee is chaired by John Thompson, the board’s lead independent director, and includes Microsoft founder and Chairman Bill Gates, as well as other board members Chuck Noski and Steve Luczo.
It will consider both external and internal candidates and is working with executive recruiting firm Heidrick & Struggles International Inc, according to the company.
Microsoft shares rose 8.9 percent to $35.27 in premarket trading.

お盆の火曜日 個人向けPC出荷台数は30%減少

はい会社です。いつもより若干電車内は空いていますが、余り変わらないですね。みんな働きますね。

先週末は37度や36度でしたが、今週は最高気温33度。マシに感じるから不思議です。

夜はサンプラザで2,000m Swim

今日のWSJの記事の写真 (下記)
北京のアパート。中国人らしい、モラルもへったくれもない造形物ですね。6年かけてこの訳のわからない構造物を勝ってに作ったそうです。近隣住民はこの構造物により建物が崩壊するのでは?と恐れているそうです。中国政府当局は『15日以内に、この構造物が合法であることを証明するか、もしくは、撤去するか』求めているそうですが、所詮、中国政府、海外マスコミ向けのパフォーマンスで、何もしないでしょう。

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4~6月の国内PC出荷は前年比12.5%減、家庭市場は5四半期連続の前年割れ――IDC

 IDC Japanは8月13日、国内のクライアントPC市場出荷実績値を発表した。これによると、2013年第2四半期(4~6月)の出荷台数は、ビジネス市場が前年同期比7.2%増の191万台、家庭市場が同29.4%減の146万台、合計で同12.5%減の337万台となっている。

 家庭市場のPC出荷台数は、5四半期連続で前年同期比を下回った。ベンダーの中には比較的利益を確保しやすいビジネス市場モデルに販売促進活動の比重を置く傾向があり、さらに、円安対応の価格設定を行った新モデルへの切り替えのため旧モデルの出荷を抑える施策をとるベンダーもあったことが影響したという。一方、ビジネス市場は6四半期連続で前年同期比を上回り、企業の業績が回復基調にあることから堅調な需要に支えられてプラス成長を維持している。

 ベンダー上位5社の動向は、NECレノボグループが家庭市場で前年同期比25.3%減、ビジネス市場では同4.9%増となり、全体で10.1%減となった。富士通は家庭市場で前年同期比26.4%減、ビジネス市場も同0.7%減となり、全体では12.4%減。東芝は家庭市場で前年同期比24.9%減、ビジネス市場では同0.3%減となり、全体では16.3%減となった。

 一方、デルは家庭市場で前年同期比2.7%増、ビジネス市場は同25.2%増で、全体では20.4%増だった。上位5社の中で、唯一家庭/ビジネス市場ともに前年同期比増となり、全体としても唯一の2けた成長を達成した。HPは、家庭市場で前年同期比44.8%減と前期に続き大きく出荷減となったが、ビジネス市場では同19.2%増と好調で、全体では5.3%増と出荷増につながっている。

 PC,携帯端末&クライアントソリューション リサーチマネジャーの敷田康氏は、「企業の業績回復に裏付けられたビジネス市場の需要増に期待し、今後もしばらくベンダーの販売促進活動がビジネス市場に傾いていくことが予想される。家庭市場では家電量販店が白物家電の需要の好調から情報機器製品などの仕入れ余地が出てくる可能性はあり、今夏以降では家庭市場に強いベンダーを中心に出荷増を図る動きも出てくる」とコメントしている。

マイクロソフトが組織をリシャッフル

次はポジションクローズとレイオフの嵐でしょうかね。パソコン時代に終止符。

Seattle Timesがこの組織再編をどう思うか?と読者アンケートをしました。3択でどう思いますか?

1. I like it. なかなかいいじゃない。
2. Success will depend on execution うまく行くかどうかはやって見ないとわからないなぁ。
3. Rearranging the chair on the Titanic 所詮、タイタニック号のイスを並べ替えただけ。

結果は明日のブログに。

Microsoft announces sweeping reorganization

In a sweeping reorganization designed to further Microsoft’s transformation into a devices-and-services company, CEO Steve Ballmer today realigned the company according to function, cutting in half the number of product divisions and centralizing other services such as marketing, finance and business development.

The company will now be organized around the functions of: engineering (including supply chain and datacenters), marketing, business development and evangelism, advanced strategy and research, finance, human resources, legal, and COO areas (including field, support, commercial operations and IT).

Within engineering, the four groups are: Operating Systems, Applications and Services, Cloud and Enterprise, Devices and Studios.

Missing from the list of senior leaders in the new world order is Office President Kurt DelBene, who will be retiring, Ballmer said in an email he sent to employees this morning.

A notable addition to the team is Mark Penn, former Clinton advisor who joined Microsoft in 2012 to work on strategic and special projects (such as “Scroogled” ad campaign against Google).

Ballmer said the reorganization will help the company “innovate with greater speed, efficiency and capability” and “will enable us to execute even better on our strategy to deliver a family of devices and services that best empower people for the activities they value most and the enterprise extensions and services that are most valuable to business.”

The changes, which take effect immediately, are also designed to foster more collaboration — something Ballmer emphasized with the subject of his email: “One Microsoft.”

Here’s who’s going to be doing what. (The title of “president” will no longer be used for division heads. Instead, nearly all of the senior leadership team will hold the title of “executive vice president.”)

In the engineering groups:

Julie Larson-Green, formerly corporate vice president of Windows engineering, is now executive vice president of Devices and Studios. This group will handle all of Microsoft’s hardware development and supply chain, from Xbox to Surface to keyboards and mice. Larson-Green will also be charge of all the studio experiences including games, music, video and other entertainment.
Qi Lu, formerly president of Online Services division, is now executive vice president of Applications and Services. This group will handle Office, Lync, SharePoint, Skype, Yammer, Bing and MSN. It is charged with providing apps and services in core technologies in productivity, communication and search.
Terry Myerson, formerly corporate vice president of Windows Phone division, is now executive vice president of Operating Systems. That includes all the operating systems for consoles, mobile devices, PCs and back-end systems including Windows, Windows Phone and Xbox. It also includes the core cloud services for the operating systems.
Satya Nadella, formerly president of Server & Tools business, is now executive vice president of Cloud and Enterprise. This group will lead development of back-end and enterprise IT technologies such as SQL Server, Windows Azure and System Center. It will also lead datacenter development, construction and operation.
In the other groups (what Ballmer refers to as “disciplines”):

Tony Bates, formerly president of Skype, is now executive vice president of business development and evangelism. He will focus on corporate strategy, Microsoft’s key partnerships (including those with Nokia, Yahoo and PC and device manufacturers), and reaching out to developers. His group will also work on business development efforts that were previously the work of the product divisions.
Lisa Brummel, executive vice president, continues to lead human resources.
Amy Hood, executive vice president, continues to be chief financial officer. She will also centralize all product group finance organizations.
Mark Penn, formerly corporate vice president in charge of strategic and special projects, is now executive vice president of advertising and strategy. He will “take a broad view of marketing strategy,” Ballmer said in his email, and, along with Tami Reller, lead the newly centralized advertising and media functions.
Tami Reller, former Windows chief marketing officer and chief financial officer, is now executive vice president of marketing. She will lead all marketing and will co-lead with Penn advertising and media.
Eric Rudder, fomer chief technical strategy officer, is now executive vice president of advanced strategy and research. He will lead Microsoft Research, as well as trustworthy computing.
Brad Smith continues as executive vice president and general counsel.
Kirill Tatarinov, former president of Microsoft Business Solutions, is now executive vice president of Microsoft Business Solutions. This small division has mainly been responsible for Dynamics, Microsoft’s customer relationship management and enterprise resource planning offerings. Tatarinov will continue to run Dynamics as is, and “we will keep Dynamics separate as it continues to need special focus and represents significant opportunity,” Ballmer said in his email, adding that Tatarinov’s product leaders will be dotted line reports to Lu, while his marketing leader will a dotted line report to Reller and his sales leader a dotted line report to the COO group.
Kevin Turner will continue as chief operating officer, focusing on worldwide sales, field marketing, services, support, and stores as well as IT, licensing and commercial operations.
Also, Rich Rashid, current head of Microsoft Research, will move into a new role “driving core OS innovation in our operating systems group,” Ballmer said in the email.

Craig Mundie, senior advisor to the CEO, will be working on a special project for Ballmer through the end of this year, and in 2014 will work as a consultant until his previously announced retirement at the end of that year.

Ballmer, in his email, also outlined how people in the company are expected to work together in this new structure:

Process wise, each major initiative of the company (product or high-value scenario) will have a team that spans groups to ensure we succeed against our goals. Our strategy will drive what initiatives we agree and commit to at my staff meetings. Most disciplines and product groups will have a core that delivers key technology or services and then a piece that lines up with the initiatives. Each major initiative will have a champion who will be a direct report to me or one of my direct reports. The champion will organize to drive a cross-company team for success, but my whole staff will have commitment to the initiative’s success.

日曜日、IT Industryの栄枯盛衰

いい天気です。朝は中野通りのロイスダールで朝食を取りました。中野駅周辺に比べてここは、ユックリできていいですねぇ。夕方はサンプラザで2,000mスイム。近所の実家で四方山話をして帰宅しました。

私も気がつけばIT業界の経験の方が航空業界の経験よりも長くなりました。今日はIT業界の栄枯盛衰の見分け方を、一つ。ITの企業はコンシューマ相手に事業を始める事が多いです。マイクロソフトがいい例です。Windows95などでコンシューマにてエクサイトメントを起こし、大企業、そして中小企業と軸足を移動してきました。逆の言い方をすれば、衰退もコンシューマから始まって、時間をかけて大企業、そして中小企業と移っていきます。

先日のマイクロソフトの四半期決算発表で明らかなのは、コンシューマで大ゴケしたが大企業の残存サブスクリプションビジネスで何とか体裁を取り繕ったというところです。この大企業などのビジネスセグメントもGoole, Amazon, そして今後はコンシューマセグメントでの峠を超えてしまったAppleにシェアを奪われて、3-5年すると、大幅にシェアをを失っているでしょう。

コンシューマで元気のいい会社は、まだまだこれからですが、ビジネスセグメントで守りに入っている会社はジリ貧で衰退、これが大きな流れです。

テクニカルな側面を加えるとすれば、re-purchase(自社株買い)やdividend(配当)を始めたり、増やしたした企業は落ち目です。下記の記事はアップルの衰退を書いていますが、このテクニカルな側面が読み取れます。
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アップルを苦しめる3つの「シェア」 ジョブズの魔法は消えたのか

 【シリコンバレー=岡田信行】米アップルが3つの「シェア」に苦悩を深めている。1つ目は自社のシェア(株式)の価格。昨年9月に比べて35%以上も下落し、株式時価総額で世界首位の座から転落する原因となった。2つ目はスマートフォン(スマホ)市場で相対的に下がってきた「iPhone」の販売シェア(占有率)。そして最後は高いブランド力を支えてきた「経営理念」のシェア(共有)だ。アップルはどこへ行くのか――。3つのシェアを手掛かりに探ってみた。

■「過去最高業績」でも株式市場は失望

 「従業員の皆さん、我々は記録的な四半期(2012年10~12月)期決算を発表したところです。皆さんの努力と注力に感謝します。我々は年末の四半期だけで、7500万台もの『iOS(アップルの携帯端末用基本ソフト)』搭載端末を販売しました。革新的なアップルの強さを証明したのです」

 アップルの純利益が微増にとどまった10~12月期決算を発表した23日。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は、こんな文面の電子メールを従業員に送った。複数のIT(情報技術)ニュースサイトが伝えた。

 10~12月期の売上高は前年同期比18%増の545億1200万ドル、純利益は0.1%増の130億7800万ドルで、ともに四半期ベースで過去最高を更新。iPhoneの販売台数も29%増の4778万9千台と過去最高を記録した。

 しかし、ここ数年続けてきた驚異的な収益拡大とは、明らかに内容が異なっていた。市場から大きな期待を寄せられていたアップルだけに、その勢いのある成長が途切れたことだけでも、株式市場の失望感は強かった。

 「29%増でもiPhoneは不振なのか」「過去最高の業績でもたたかれるのか」。インターネット上では、メディアの報道や投資家の反応を批判する声も多く上がった。

 強い期待感の醸成や高い株価は、クックCEO率いるアップルが望んだことでもある。アップルの現在の立ち位置が、すでに11年10月に死去したスティーブ・ジョブズ前CEO時代とは、やや変わっているからだ。

 ジョブズ氏の生前、アップル株の最高値は11年9月20日の取引時間中につけた422.86ドルだった。同年8月に株式時価総額は一時、世界トップに躍り出ていたが、2位のエクソンモービルを突き放すまでには至っていなかった。

 300~400ドル前後で推移していた株価が、500ドルを超えて、700ドルを突破するまで急上昇を始めたのは、実は12年1月からだ。同月に発表した11年10~12月期決算で、純利益が前年同期比2倍以上に伸び、ジョブズ氏亡き後の経営不安をある程度払拭できたことが効いた。また同3月には、クックCEOが配当や自社株買いを実施すると発表。株主重視の姿勢を打ち出したことも大きかった。

■株主との「緊張関係」から転換

 ジョブズ氏は生前、株主総会で「株主のために経営しているのではない」と言い放ち、収益は急拡大していても、株主とは緊張関係にあった。「株主のためにお金を使う気はない」とも発言。株主の利益よりも「顧客に驚きを与える製品開発」に重点的に投資する姿勢を堅持してきた。

 クックCEOも顧客を軽視しているわけではない。それでも「株主重視」に踏み切ったのには理由がある。アップルが幹部や社員に大量に付与した制限付き株式(RSU)の存在だ。

 アップルはクック氏がCEOに就任した11年8月以降、クック氏をはじめ主要幹部を対象に、売買が可能になる期日にアップルに在籍していることを条件とするRSUを大量に付与している。クック氏らは期日が来たら、RSUの権利を行使して普通株式を取得し、市場で売却することができる。

 RSUの権利行使期日は主なもので13年8月から21年8月まで。クックCEOには11年8月に100万株のRSUが付与され、16年8月に50%分、21年8月に残る50%分の権利が行使できる。それぞれの幹部がジョブズ氏の死後も、アップルにとどまり、担当分野で実績をあげて株価上昇が続けば、手にする株式売却益も大きくなる。

■株式付与で株価上昇が社員にもプラスに

 カリスマ的な存在感で社内外で求心力をもっていたジョブズ氏亡き後に、アップルが結束を保ち、成長を続けていくための仕組みとして、アップルは「株主」を意識した経営にシフトした。

 クックCEOにとって、時価総額が世界一かどうかは問題ではないが、ジョブズ氏のように「株主のために経営をしているわけではない」と放言するわけにはいかない社内事情があったのだ。

 アップルを世界で最も価値ある企業に押し上げたのは、新分野を切り開くイノベーション(革新)の力と、機会損失を抑えて規模を拡大するオペレーション(事業展開)の力だ。しかし、その2つの要素が、このところ、逆回転気味となっている。その一因はもう1つのシェア(市場占有率)が下がっていることと無縁ではない。

韓国サムスン電子はスマートフォンやタブレット、デジカメなどの販売が好調でシェアを拡大させている(韓国ソウル市内の同社製品広告の前で)=ロイター
■サムスンと激しいシェア争い

 米調査会社IDCが24日に発表した、スマホのメーカー別世界出荷シェアによると、12年10~12月は韓国サムスン電子が前年同期比6.5ポイント増の29.0%で首位。アップルはシェアを1.2ポイント落とし、2位の21.8%にとどまった。世界出荷台数が市場全体で36%伸びたなか、サムスンは販売台数を76%増やし、29%増だったアップルを突き放した。

 アップルは23日の決算説明会でも、最新の「iPhone5」の販売は好調だったとしながらも、10~12月期中に「『iPhone4』が終始品薄だった」とも言及した。また、機種別の販売台数は開示しなかったものの、最も価格の高い上位機種「5」ではなく、条件付きで価格が0ドルとなる旧機種「4」の需要が予想外に強いことを示唆した。

 アップルが得意とする上位機種の需要は、先進国市場での普及一巡に伴い、次第に開拓余地が小さくなってきている。加えてグーグルやマイクロソフトなど競合他社も、アップルを徹底的に研究し、魅力的なスマホを安い価格で提供できるように工夫を凝らしている。

■新興国・低価格市場が「もろ刃の剣」にも

 アップルがいま販売に注力しているのは中国など新興国市場であることも「もろ刃の剣」だ。新興国では「100ドルスマホ」が激戦区。メーカー各社が火花を散らすなか、アプリの品ぞろえや使い勝手の良さで優位性をアピールできたとしても、最終的には価格勝負となる。

 機能を拡充しながら部品コストを下げるには規模拡大が不可欠。つまり、ある程度は市場シェアを追わざるを得ない。しかし、シェアを求めすぎると価格競争に巻き込まれ、アップルのブランドが傷つく恐れがある。

 決算説明会で「市場シェアは追わないのか?」と聞かれたクックCEOは、「アップルの使命は最高の製品を作ることだ。そのうえで合理的なシェアを得る」と強調した。

 タブレット(多機能携帯端末)では、昨年11月に小型版の「iPad mini」の投入で販売台数は増えたが、「他のアップル製品に比べて、利益率が著しく低い」(ピーター・オッペンハイマー最高財務責任者)状況だ。

■販売台数は増えたが利益率は低下傾向に

 iPhoneとiPadの分野別売上高を販売台数で単純に割った「1台あたり売上高」で比べると、iPadは初代を発売した10年4~6月期に662ドル台だったのが、12年10~12月期は470ドルを割り込み、200ドル近く値下がりした。

 一方、iPhoneは、同じ時期に630~640ドル台を維持しており、ここまでは、アップルの思惑通りに販売を拡大してきたことが分かる。

 今後、iPhone販売を新興国に広げていけば、投入の噂が根強い「廉価版」の必要性が高まることは必至。アップルはブランドの維持と規模拡大をどう両立するか、難しい選択を迫られる。

■「世界を変える」スピリットをどう維持するか

iPhoneを発表するアップル共同創業者で最高経営責任者だったスティーブ・ジョブズ氏(故人、2007年1月)=ロイター
 価格競争を回避しながら、事業を拡大するには、アップルがこれまで取り組み、アップルをアップルたらしめてきた、画期的な製品・サービスの開発に挑み続けるしかない。「株主のためではなく、世界を変え、人々を驚かせるために」挑戦することが、ジョブズ氏がシェア(共有)しようとしたアップルのスピリットのはずだ。

 消費者は「iPhone」や「iPad」の最新版に最新の機能を盛り込んだだけでは、「マジカル(魔法のよう)」とは感じなくなっている。株式市場も、収益が拡大し、最高益を更新しただけでは反応しなくなった。

 クックCEOを苦悩に追いやる「3つのシェア」は難問ばかりだ。かつて革新的と言われ、世界をリードした数多の企業も成熟期に同様の苦悩に直面し、少なからず消えていった。「アップルはジョブズ氏の最高の作品」(アップル取締役を務めるゴア元副大統領)だとすれば、「アップルこそアップルである」ことを自ら示し続けるしかない。